データマネジメントの始め方
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はじめ方主導してくれるか、権限移譲してくれる人がいれば心強いです。 そうでない場合は個人で始め、価値を感じてくれる人を増やし、チーム、組織を作っていきましょう。
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基本的な考え方評価されやすい見た目のインパクトの出やすいデータマネジメントから着手しましょう。 立ち上げに当たって印象付けは重要です。 データサイエンティストがデータソースから頑張っているなら、データウェアハウスをきれいに作るだけで喜ばれるでしょう。あるいは、データ分析する下地がないなら、データの可視化から始めてみましょう。 データ収集の下地がないなら、計測系を仕込むところからスタートですが、ROI の算定が困難なため、説得に苦労することになりそうです。
重要性を認知してもらえたら ROI 中心に仮説を立て、計測系を設計し、実行、評価していきます。 データマネジメントは、直接的には利益を生みません。しかし、それによって効率よく利益を生む構造を作ることができるため、その影響を正しく計測しておくべきです。
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着手順の決め方最初に派手なものを着手したら、次から ROI 中心にコツコツ実績を積み上げていきましょう。 大別すると、リスクを低減するための戦略、リターンを増大するための戦略、データ組織を作る戦略が必要になります。
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リスク低減戦略リスクの低減は目に見えない実績ですが、データ資産を法的に正しく扱うことは組織を守ることにつながります。 具体的には以下のようなリスク低減の戦略があります。
- データのライフサイクル全体の可用性を管理する
- データの最低限の完全性を保証する
- データベースオペレーションの管理計画を立てる
- 重要なイベントアラートを定義する
- SLA と評価尺度を決める
- データのセキュリティレベルを定める
- セキュリティレベルを定期的に見直す業務フローを設計する
- プライバシと機密性に関するポリシーを浸透させる
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リターン増大戦略リターン増大はわかりやすい実績になります。それゆえ要望も肥大化しやすいため、着実に実績ベースで効率よく ROI を積み上げていきましょう。ただし、のんびりしていると社内規格が乱立する点にも気を配りましょう。 リターン増大には以下のような戦略があります。
- 理想のアーキテクチャとそのビジネス価値を検討する
- データベースオペレーションの管理計画を立てる
- 業務に必要なデータ、データソースが業務要件を満たすか評価する
- データを統合するシステムの設計、開発をする
- データの関連性を管理する
- アジャイルなデータモデリングの仕組みを設計する
- データ定義の所有者や責任の所在を定義する
- マスタデータの変更プロセスを定義する
- マスタデータを参照するルールを決める
- SLA と評価尺度を決める
- 散らばっているドキュメントが何なのか分類と整理を行う
- リスクの大きな非構造化データを管理する業務ルールの規定を行う
- 非構造化データを管理できる情報システム資産台帳を作る
- 高品質なデータを定義する
- データごとの重要性を評価し、重要な順に品質向上の計画を立てる
- データ品質の管理ルールを改善する仕組みを作る
- 支援対象となるデータ利用者の要件を理解する
- データソースと BI の整備を行う
- メタデータをビジネス、テクニカル、オペレーショナルな領域に分類する
- メタデータに必要な要件を定義する
- メタデータリポジトリを用意する
- メタデータの運用方法を決める
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データ組織戦略ライフサイクルの長いデータを管理し、資産にしていくためには、組織化や意識作りが必要不可欠です。 例えば以下のような戦略があります。
- 現状分析して組織の戦略とギャップの大きい部分を把握する
- データ管理の全体指針とルールを定める
- トップダウンの推進、承認、支援、報告体制を浸透させる
- 運用チームを整備する